税理士の選び方や税金の基本について、自分で調べたことや経理の経験をもとに書いていくブログです。

所得税の仕組みをざっくり理解する|累進課税ってなに?

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独立してサロンを始めたばかりの頃、確定申告の時期がきて「所得税」の壁にぶち当たりました。

「所得税って結局いくら払うの?」「累進課税ってよく聞くけど、何のこと?」

当時の私はまさにこの状態。会社員時代は給料から天引きされていたので、税金のことなんて自分で考えたことがなかったんですよね。独立するまで「源泉徴収票」すらまともに見たことがなかった。今思えばありえない話です。

今回は、あの頃の自分に教えてあげたい「所得税の基本的な仕組み」と「累進課税」についてまとめてみます。税理士さんに聞いた話や、自分で確定申告と格闘しながら覚えたことがベースです。これから独立する方や、税金の仕組みがいまいちピンとこない方の参考になればうれしいです。

そもそも所得税って何?

所得税は「もうけ」にかかる税金

所得税は、個人が1年間に得た「もうけ」に対してかかる国の税金です。

ここでいう「もうけ」は売上そのものではなく、売上から必要経費を引いた金額のこと。私のサロンでいえば、施術の売上から材料費・家賃・光熱費・通信費などを差し引いた残りが「所得」になります。

会社員の場合は、給料から「給与所得控除」という経費に相当するものが自動的に引かれて所得が計算される仕組み。個人事業主は自分で経費を計上するので、ここが大きな違いです。

「収入」と「所得」は別モノ

税金の話で最初につまずきやすいのが「収入」と「所得」の違い。似ているようで全然違います。

用語意味具体例
収入入ってきたお金の総額売上、給料の額面
所得収入から経費を引いた金額売上 − 経費、給料 − 給与所得控除

私も独立1年目は「売上500万円だから、500万円に税金がかかるの?」と本気で焦っていました。税理士さんに「経費を引いた後の金額に課税されますよ」と言われて、ようやく「あ、そうなんだ」と。ここを知っているだけで気持ちがだいぶ違います。

所得税がかかるまでの流れ

所得税の計算は、大まかにこんな流れで進みます。

  1. 収入(売上)から必要経費を引いて「所得」を出す
  2. 所得から「所得控除」(基礎控除・社会保険料控除など)を引く
  3. 残った金額(課税所得)に税率をかける
  4. 税額控除があればさらに引いて、最終的な納税額が決まる

式にするとこうなります。

課税所得 = 収入 − 必要経費 − 所得控除

所得税額 = 課税所得 × 税率 − 控除額

「なんで2回も引くの?」と思いますよね。最初に引くのは「稼ぐためにかかったお金(経費)」、次に引くのは「生活に最低限必要な分(所得控除)」。どちらも「ここには課税しません」という国の仕組みです。つまり引ける金額が大きいほど、税金は安くなります。

累進課税ってどういう仕組み?

稼ぐほど税率が上がる

累進課税とは、所得が多い人ほど高い税率が適用される仕組みのことです。

年間所得が少ない人には低い税率、多い人には高い税率をかける。日本の所得税は5%から45%まで7段階に分かれていて、所得が増えるにつれて段階的に税率が上がっていきます。

この仕組みがある理由はシンプルで、「支払い能力に応じた負担」という考え方がベースにあります。たくさん稼いでいる人には多めに納めてもらい、稼ぎが少ない人の負担は軽くする。社会全体でバランスを取るための仕組みですね。

ちなみに、住民税は所得に関係なく一律10%。累進課税が適用されるのは所得税・相続税・贈与税の3つです。

日本は「超過累進課税」を採用している

累進課税には2種類あって、日本で使われているのは「超過累進課税」という方式です。

  • 単純累進課税:所得の全額に、該当する税率をまるごとかける
  • 超過累進課税:一定額を超えた部分だけに、高い税率をかける

ここがとても大事なポイントです。たとえば課税所得200万円の場合、200万円全部に10%がかかるわけではありません。195万円までの部分には5%、195万円を超えた5万円の部分にだけ10%がかかります。

「超えた部分だけ」に高い税率がかかる。この原則を知っているかどうかで、税金に対する不安がかなり変わってきます。

よくある勘違い:「税率が上がると損する」は間違い

独立したての頃、サロン仲間と「稼ぎすぎると税率が上がって逆に損するらしいよ」なんて話をしたことがあります。この手の話、個人事業主の間では結構広まっているんですよね。

でもこれは間違い。超過累進課税の仕組みを知ると、理由がはっきりわかります。

課税所得190万円の人と200万円の人で比べてみます。

課税所得税額手取り
Aさん190万円190万 × 5% = 9万5,000円約180万5,000円
Bさん200万円195万 × 5% + 5万 × 10% = 10万2,500円約189万7,500円

Bさんのほうが税金は多いですが、手取りもしっかり約9万円多い。稼いだ分だけ必ず手元に残ります。

もしこれが単純累進課税で「全額に10%」だったら、200万円 × 10% = 20万円。手取りが180万円になって、190万円のAさんより手取りが少ないという矛盾が起きます。超過累進課税はそうならないよう設計されているわけです。

私はこれを税理士さんから教えてもらって、「なんだ、稼いで損なんてしないんだ」とホッとした記憶があります。

所得税の税率と計算方法

7段階の税率表を確認しよう

国税庁の「所得税の税率」ページに掲載されている速算表がこちらです。

課税される所得金額税率控除額
1,000円〜194万9,000円5%0円
195万円〜329万9,000円10%9万7,500円
330万円〜694万9,000円20%42万7,500円
695万円〜899万9,000円23%63万6,000円
900万円〜1,799万9,000円33%153万6,000円
1,800万円〜3,999万9,000円40%279万6,000円
4,000万円以上45%479万6,000円

最低5%、最高45%。個人事業主やフリーランスの方は、自分の課税所得がどの区分に入るか把握しておくと、税金のざっくりした目安になります。

速算表で計算してみよう

速算表を使うと、超過累進課税の面倒な計算が一発でできます。やり方は「課税所得 × 税率 − 控除額」。たったこれだけです。

たとえば課税所得が400万円の場合。

400万円 × 20% − 42万7,500円 = 37万2,500円

表の「控除額」は、低い税率の段階をまとめて調整してくれる数字。いちいち「195万円まで5%、次の135万円は10%、残りの70万円は20%」と段階ごとに計算しなくても、この式で同じ結果が出ます。

もうひとつ、課税所得700万円のケースもやってみましょう。

700万円 × 23% − 63万6,000円 = 97万4,000円

課税所得が300万円増えると、税額は約60万円増える計算。税率の段階が上がっている分、増加幅も大きくなっていきます。自分の課税所得がどの税率区分にいるかを知っておくと、「あといくら稼いだら税率が上がるのか」も見えてきます。

ちなみに、実際の納税額にはここに復興特別所得税(所得税額の2.1%)が上乗せされます。37万2,500円の場合だと約7,822円がプラスされ、合計で約38万322円。復興特別所得税は東日本大震災の復興財源として加算されているものです。

所得控除で課税される金額を減らせる

よく使う所得控除

所得控除は「この分には税金をかけません」という制度です。使える控除が多いほど課税所得が減って、結果として税金も安くなります。

個人事業主がよく使う所得控除をまとめました。

  • 基礎控除:誰でも受けられる基本的な控除。合計所得2,400万円以下なら満額適用
  • 社会保険料控除:国民健康保険や国民年金の支払額が全額控除
  • 生命保険料控除:加入中の保険に応じて最大12万円
  • 医療費控除:年間の医療費が10万円を超えた分(確定申告が必要)
  • 小規模企業共済等掛金控除:iDeCoの掛金が全額控除
  • 配偶者控除・扶養控除:家族構成に応じた控除
  • 寄附金控除:ふるさと納税なども対象

意外と見落としがちなのが医療費控除。歯の治療費や通院の交通費も対象になるので、年間の医療費が多かった年はレシートを集めておく価値があります。マネーフォワードの個人事業主向け解説ページにも控除の詳しいまとめがあるので、自分に当てはまるものがないか確認してみてください。

個人事業主なら青色申告は外せない

所得控除とは別枠ですが、個人事業主にとって大きいのが「青色申告特別控除」。事業所得の計算で差し引けるもので、節税効果はかなりのものです。

  • 複式簿記で記帳+e-Taxで申告 → 最大65万円の控除
  • 複式簿記で記帳+紙で申告 → 55万円の控除
  • 簡易簿記で記帳 → 10万円の控除

65万円控除が受けられれば、税率20%の人なら単純計算で13万円の節税。これを毎年受けられるので、積み重なるとかなりの差になります。

私は独立1年目、よくわからないまま白色申告で出してしまいました。簿記の「ぼ」の字も知らなかったので「青色は難しそう」と避けたのですが、翌年から切り替えてみたら会計ソフトが大体やってくれた。正直「1年目からやっておけばよかった」と後悔しかありません。開業届と一緒に「青色申告承認申請書」を出す。これが鉄則です。

2026年から基礎控除が変わった

何がどう変わった?

2026年(令和8年)から、所得税の基礎控除と給与所得控除が引き上げられました。

ニュースで話題になった「年収の壁178万円」は、基礎控除と給与所得控除の引き上げによって、年収178万円以下の給与所得者には原則として所得税がかからなくなったという話。パートやアルバイトをしている方にとっては大きな変化ですね。

ただこれは「基礎控除+給与所得控除」の合計額の話。個人事業主には給与所得控除がないので、178万円という数字がそのまま当てはまるわけではありません。

サロンでパートスタッフを雇っている場合は、スタッフさんにとっては直接関係のある話なので、「扶養を外れるかどうか」の相談が出てくるかもしれません。従業員がいる方は知っておいて損はないポイントです。

個人事業主はどう変わる?

個人事業主に直接関係するのは「基礎控除の引き上げ」部分です。基礎控除が増えた分だけ課税所得が減り、税金も少し安くなります。

ただ正直なところ、基礎控除の数万円の変動より、青色申告の65万円控除や日々の経費の適切な計上のほうがよっぽどインパクトは大きいです。私の実感としても、「控除が少し増えた」より「経費をもれなく計上する」ほうが効果的でした。

税制は毎年のように変わるので、細かい数字を追いかけるよりも、まずは所得税の基本的な仕組みを押さえるほうが先。仕組みを理解していれば、改正があっても「何がどう変わったか」がすんなり入ってきます。

まとめ

所得税の仕組みをざっくり振り返ります。

  • 所得税は「収入 − 経費 − 所得控除」で出した課税所得にかかる
  • 累進課税は「稼ぐほど税率が上がる」仕組みで、日本では5%〜45%の7段階
  • 超過累進課税なので、所得の全額に高い税率がかかることはない
  • 所得控除や青色申告を活用すれば、合法的に税金を減らせる

私自身、独立1年目は「税金ってよくわからないし怖い」という状態でした。でも仕組みを理解してしまえば意外とシンプル。「所得税はもうけにかかる」「超過累進課税だから稼いで損することはない」。まずこの2つを押さえておくだけで、確定申告のハードルはぐっと下がります。

これから確定申告に臨む方は、自分の所得がどのくらいか、使える控除は何かを整理するところから始めてみてください。



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