独立1年目、確定申告の時期に泣きそうになった。何もわからないまま開業届を出して、領収書は靴箱にまとめて突っ込み、帳簿なんて一行もつけていなかった。「これはまずい」と焦って税理士を探したのが、私と税理士の付き合いの始まりです。
結論から言うと、最初に契約した税理士とは1年で別れました。合わなかった。今思えば、選び方がそもそも間違っていた。でも2人目の税理士とは3年以上続いていて、今のところ不満はほとんどありません。
この差は何だったのか。失敗した経験があるからこそ、2回目は「ここを見よう」というポイントがはっきりしていたんです。
エステサロンを個人で経営している私の体験談ですが、これから独立する人や税理士を変えようか迷っている人には参考になる部分があると思います。私がチェックしたポイント、全部書きます。
目次
最初の税理士選びで私が見ていなかったこと
1人目の税理士選びは、今振り返ると反省点しかありません。当時の私がどれだけ何も知らなかったか、正直に書いておきます。
「安さ」だけで選んでしまった
独立したてでお金に余裕がなかったので、とにかく安い税理士を探しました。ネットで「個人事業主 税理士 安い」と検索して、月額1万円以下をうたっている事務所に飛びついた。
安いこと自体が悪いわけじゃないです。問題は、「安い理由」を考えなかったこと。月額が安い分、確定申告の時期になると別途料金がかかるとか、記帳代行は含まれていないとか、後から知った条件がいくつもありました。トータルで見ると、そこまで安くなかった。
しかも安い事務所は担当するクライアントの数が多いのか、一つひとつの対応がどうしても薄くなる。「月額が安い=お得」ではなく、「月額が安い=何かが省かれている」と考えた方が現実に近いです。
面談で聞くべきことを知らなかった
最初の税理士とは、初回の面談で15分くらい話しただけで契約を決めました。向こうが説明してくれたことに「はい、はい」とうなずいていただけ。こちらから質問なんて何も用意していなかった。
今ならわかります。面談は「こちらが質問する場」です。受け身で座っていても、自分に合う税理士かどうかは判断できない。あの15分で私が得た情報は「顧問料の金額」と「対応範囲のざっくりした説明」だけでした。判断材料としては全然足りていなかった。
相性という視点がまるでなかった
「税理士に相性なんてあるの?」と当時は思っていました。専門家にお願いするのに、好き嫌いで選ぶのは失礼だろうと。
でも実際に付き合ってみると、相性はものすごく大事でした。税理士紹介サービスのビスカスが実施した調査では、税理士選びの決め手として「相性・人柄」を重視した人が92.4%にのぼっています。費用や専門知識より上。私も身をもって実感した数字です。
税理士を変えようと決めたきっかけ
「この税理士、合わないかも」と思い始めてから、実際に変更を決断するまでには数か月かかりました。きっかけは一つじゃなくて、小さな不満が積み重なった結果です。
連絡しても返事が来ない日々
メールを送っても3日、4日返ってこない。こちらとしては「この経費、計上していいのかな」みたいな素朴な疑問をぶつけているだけなのに、いつまでも音沙汰がない。
催促するのも気が引けるし、でも放っておくと確定申告の時期が迫ってくる。この「聞きたいのに聞けない」状態が地味にストレスでした。
結局、疑問が解消されないまま自分で調べて、合っているかどうかわからないまま処理を進めることが増えた。それなら税理士にお願いしている意味がないですよね。「お金を払っているのに、なんで自分で調べているんだろう」と何度も思いました。
確定申告直前に「追加料金がかかります」と言われた
これが決定的だった。確定申告の準備が始まった12月ごろ、突然「仕訳の数が多いので追加で○万円かかります」と連絡が来ました。
事前に説明があれば納得できたかもしれません。でも契約のときにそんな話は一切なかった。しかも確定申告直前に言われると、他の税理士に変えることもできない。足元を見られている気分でした。
こちらの仕事を理解してくれていないと感じた
エステサロンという仕事の特性を、あまり理解してもらえていなかった。たとえば美容関連の消耗品の扱いや、施術に使う機器のリース料の処理について質問しても、「一般的には…」という返答ばかり。
「うちの場合はどうなんですか?」と聞き返すと、少し考え込んで曖昧な回答。業種のことを調べてくれている感じがしなかったんですよね。
サロン経営では、化粧品やオイルなどの仕入れ、技術講習の受講費、ユニフォーム代など、業種特有の経費がたくさんあります。「これは経費にできるのか」「勘定科目はどれが正しいのか」を毎回自分で調べるのは限界がある。税理士にはそこを頼りたかったのに、期待通りの答えが返ってこなかった。
2人目の税理士を探すときに見たポイント
1人目で失敗した経験があったので、2人目はかなり慎重に探しました。3つの事務所と面談して、比較検討した上で決めています。
面談で「こちらの話をどれだけ聞いてくれるか」を見た
2回目の税理士探しで一番重視したのは、面談中の「聞く姿勢」です。
税理士側が一方的にサービス内容を説明するだけの面談は、いい兆候じゃない。こちらの事業内容や困っていること、不安に思っていることを丁寧にヒアリングしてくれるかどうか。ここを見ました。
今の税理士は初回面談で30分以上、私の話を聞いてくれました。サロンの規模、売上の波、前の税理士で困ったこと。全部聞いた上で「うちならこういう形でサポートできます」と提案してくれた。この順番が大事だと思います。
逆に、面談開始5分で「うちのサービスはこうです」と資料を広げ始めた事務所もありました。悪い人ではなかったけれど、こちらの話を聞く前に説明が始まると「私の状況、わかってるのかな」という不安が消えない。面談は営業トークの場じゃなくて、お互いを知る場。聞いてくれる税理士は、契約後も聞いてくれます。
料金の内訳を最初に全部出してもらった
1人目の失敗を繰り返したくなかったので、料金については徹底的に確認しました。面談のときに「年間を通じて、追加で発生する可能性のある費用も全部教えてください」とお願いしたんです。
ちゃんとした事務所は、これに明確に答えてくれます。月額顧問料、確定申告料、記帳代行の有無、年末調整の費用、税務調査が入った場合の対応費用。全部表にして出してくれた事務所もありました。
逆に、「状況によります」「そのときに相談しましょう」としか言わない事務所は候補から外しました。
レスポンスの速さは契約前にわかる
面談の予約を取るときのメール対応、面談後のフォロー連絡。契約前のやり取りで、その事務所のレスポンスの速さはだいたいわかります。
私が今契約している事務所は、最初の問い合わせメールに翌日には返信をくれました。面談後も「本日はありがとうございました」と当日中にメールが届いた。契約後も同じテンポで対応してくれています。
契約前にのんびりしている事務所が、契約後に急に対応が早くなることはまずありません。
自分の業種に詳しいかどうか
エステサロンや美容系の個人事業主を担当した経験があるかどうか、面談で直接聞きました。
全く同じ業種の経験がなくても、美容室やネイルサロンなどサービス業の個人事業主を見ている税理士なら、話が早い。売上の季節変動、スタッフの雇用形態、材料費の処理など、業種特有の事情をいちいち説明しなくて済むのは本当に楽です。
今の税理士は、美容業界のクライアントを複数持っていました。「化粧品の仕入れって売上の何割くらいですか?」と、こちらが聞く前に業界の肌感をわかっている。これだけで信頼度がぐっと上がりました。
初回面談で聞いてよかった質問リスト
2人目を探すとき、面談に持っていく質問を事前にメモしておきました。実際に聞いてよかったものを紹介します。
「確定申告の前にどんな連絡をもらえますか?」
これ、意外と大事な質問です。確定申告直前にバタバタするのか、それとも年間を通じて計画的に進めてくれるのかがわかります。
今の税理士は「9月ごろに中間の状況をお伝えして、11月には来期の見通しも含めてお話しします」と答えてくれました。実際にそのスケジュールで連絡が来ます。前の税理士は確定申告の1か月前まで何の音沙汰もなかったので、この違いは大きい。
「担当してくれるのはどなたですか?」
所長と面談したけど、実際の担当は経験の浅いスタッフだった。こういうパターンは珍しくないそうです。
面談の時点で「契約後の担当者は誰ですか?」「その方と一度お話しできますか?」と聞いておくと安心です。私は実際に担当者と10分ほど話してから契約を決めました。
普段やり取りするのは担当者なので、所長との相性が良くても担当者と合わなければ意味がない。ここは遠慮せずに確認した方がいいです。
「解約するときの手続きはどうなりますか?」
これを聞くのは少し気まずいかもしれません。でも、1人目の税理士を変更するとき、解約の手続きで少し揉めた経験があったので、あえて聞きました。
契約期間の縛り、解約の申し出はいつまでにすればいいのか、データや書類はどう返却されるのか。最初に確認しておけば、万が一のときに慌てなくて済みます。
ちなみに、この質問に対して嫌な顔をする税理士は一人もいませんでした。むしろ「大事なことですね」と丁寧に説明してくれた。
個人事業主が知っておきたい顧問料の目安
税理士の料金がどのくらいかかるか、契約前にざっくりでも知っておくと比較がしやすくなります。
月額顧問料と確定申告料の相場
弥生のまとめによると、個人事業主の税理士費用の相場は以下のとおりです。
| 項目 | 費用の目安 |
|---|---|
| 月額顧問料(記帳代行なし) | 1万円〜 |
| 月額顧問料(記帳代行あり) | 3万円〜 |
| 確定申告料(顧問契約あり) | 月額顧問料の4〜6倍 |
| 確定申告のみ依頼 | 15万〜25万円 |
月額3万円の顧問料なら、確定申告時に12万〜18万円が別途かかる計算です。年間トータルで50万円前後になることも。私のサロンの売上規模だと、だいたいこの範囲に収まっています。
「安い」にはだいたい理由がある
月額5,000円や1万円を切る格安プランもあります。全部がダメだとは言いません。ただ、安い場合は何かが削られていることが多い。
- 面談や訪問がない(メール・チャットのみ)
- 記帳代行は別料金
- 質問は月○回までの制限あり
- 確定申告時に別途高額な費用が発生する
自分がどこまでのサポートを必要としているかを整理してから、料金プランを比較した方がいいです。帳簿を自分でつけられる人と、全部お任せしたい人では、合うプランが違います。
費用対効果で考える
税理士にお金を払うのがもったいないと感じる気持ちはわかります。独立したばかりなら、なおさら。
でも私の場合、2人目の税理士に変えてから、節税の提案で年間10万円以上浮いた年がありました。前の税理士は特に提案をしてくれなかったので、その差額だけで顧問料の大部分をカバーできた計算です。
安さだけで選ぶより、「この税理士にお願いして元が取れるか」で考えた方が、結果的に得をする。
それに、自分で帳簿や確定申告に四苦八苦する時間を事業に使えるだけでも価値は大きいです。独立したての頃は、とにかく時間がない。「安く済ませたい」気持ちはわかるけれど、時間を買っている面もあると今は思います。
今の税理士と3年続いている理由
最後に、今の税理士となぜ長く付き合えているのか書いておきます。2人目を探している人の参考になればうれしいです。
小さな相談がしやすい
「こんなこと聞いていいのかな」と思うような些細な疑問にも、ちゃんと答えてくれます。返信も基本的に翌営業日まで。
前の税理士には聞きづらい雰囲気があったので、わからないことがあっても「まあいいか」で済ませてしまうことが多かった。小さな相談をためらわずにできるかどうかは、税理士との関係において想像以上に大切なポイントです。
たとえば「友人にプレゼントした商品って、経費にしていいんですか?」みたいなちょっと恥ずかしい質問でも、「それは交際費で処理できますよ」「金額によっては難しいですね」と、すぐに返ってくる。この安心感があるから、帳簿のつけ方もだんだん精度が上がっていきました。
節税だけじゃなくお金の使い方まで話せる
今の税理士は「税金を減らす」だけじゃなくて、「事業としてどうお金を使うか」という視点で話してくれます。
たとえば「新しい施術機器を導入したいんですけど、今のタイミングで買っても大丈夫ですか?」と聞くと、資金繰りや減価償却を踏まえた上でアドバイスをくれる。経営の相談相手としても頼りになるので、顧問料に対する不満を感じたことがありません。
「わからないことはわからない」と言ってくれる
これ、意外と大事なこと。何を聞いてもその場で即答する税理士より、「確認して折り返します」と言ってくれる税理士の方が信頼できます。
今の税理士は、自分の専門外のことや、法改正で最新の判断が必要な場面では、「一度調べてからお答えしますね」と正直に言ってくれる。結果として、もらう回答の精度が高い。誠実さって、こういうところに出ると思います。
まとめ
税理士選びに正解のテンプレートはありません。業種も売上規模も、求めるサービスも人それぞれ。でも「何を見て選べばいいか」のポイントは共通しています。
私が2回目に見たポイントを改めて整理すると、こうなります。
- 面談でこちらの話を聞いてくれるか
- 料金の内訳を全部出してくれるか
- レスポンスが早いか
- 自分の業種をわかってくれるか
- 契約条件が明確か
最初の税理士選びで失敗するのは、珍しいことではないです。サロン仲間にも「最初の税理士は合わなかった」と話す人が何人もいます。
大事なのは、そこで「次はどこを見るか」をはっきりさせること。これから税理士を探す人が、私と同じ遠回りをしなくて済むなら、この記事を書いた意味があります。
