税理士の選び方や税金の基本について、自分で調べたことや経理の経験をもとに書いていくブログです。

開業届と青色申告承認申請書の出し方|私は出すのが遅れて損した

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私がエステサロンを独立開業したのは30代のとき。自宅の一室からスタートして、集客やら施術やらで毎日バタバタでした。

正直に言うと、開業届も青色申告承認申請書も、存在すら知らなかったんです。「届出?何それ?」くらいの認識。サロン仲間に聞いても「たぶん出した…気がする」程度で、誰もちゃんと教えてくれなかった。

結果、私は開業から半年以上たってようやく開業届を出しました。青色申告承認申請書にいたっては、初年度の確定申告のときに税理士から「出してないですよね」と指摘されて初めて知ったくらいです。

初年度は白色申告。青色申告なら受けられたはずの65万円控除がなくなり、税金を10万円以上多く払いました。今思うとありえない判断でした。

この記事では、私と同じ失敗をしないように、2つの書類の出し方を実体験を交えてまとめます。独立1年目に確定申告で泣いた私が当時の自分に教えてあげたい内容です。

そもそも開業届と青色申告承認申請書って何?

独立を考えている人なら一度は耳にする2つの書類。でも「何のために出すの?」「出さないとどうなるの?」がわからないまま開業してしまう人は多いです。私もそうでした。似たような名前の書類が2つあるから余計にややこしい。まずはそれぞれの役割を整理します。

開業届は「事業を始めました」の届出

開業届の正式名称は「個人事業の開業・廃業等届出書」。管轄の税務署に「私は事業を始めました」と届け出るための書類です。提出は無料で、用紙は国税庁のサイトからダウンロードできます。

届出なので、許可をもらうわけではありません。「お知らせ」に近い感覚。ただ、出さないと困る場面がいくつかあります。

  • 屋号付きの銀行口座を開設できない
  • 事業用のクレジットカードが作りにくい
  • 融資や補助金の審査で不利になることがある
  • 青色申告承認申請書を出す前提になる
  • 小規模企業共済や経営セーフティ共済に加入できない

個人事業主として仕事をしている実態があっても、開業届を出していなければ「個人事業主」として公的に認められません。私の場合、サロン名の入った口座を作ろうとして銀行に行ったら「開業届の控えを見せてください」と言われ、慌てて出しに行きました。

青色申告承認申請書は節税の入場券

こちらの正式名称は「所得税の青色申告承認申請書」。税務署に「帳簿をちゃんとつけるので青色申告させてください」と申請する書類です。

ここが大事なポイント。この申請書を出さないと、確定申告で青色申告を選べません。白色申告しかできなくなる。青色申告の最大65万円控除が使えないのは、この書類を出していないからです。

青色申告で受けられる主なメリットは以下の通り。

  • 最大65万円の特別控除が受けられる
  • 赤字を3年間繰り越して翌年以降の利益と相殺できる
  • 家族に支払った給与を経費にできる(届出が別途必要)
  • 30万円未満の備品を一括で経費にできる

開業届より地味な存在ですが、節税への影響はこちらのほうがずっと大きい。私が「損した」と感じているのは、まさにこの書類を出し忘れたからです。

出すのが遅れるとどうなる?私はこうなった

「遅れても罰則はない」という情報はネットでよく見かけます。たしかにその通り。法律上の罰金や追徴課税は発生しません。でも「罰則がない=出さなくていい」ではないんです。罰則がなくても、税金面の実害はしっかりあります。

開業直後は書類どころじゃなかった

独立したばかりの頃を思い出すと、とにかく余裕がなかった。自宅サロンの内装にいくらかけるか。メニューの価格設定をどうするか。チラシは作るべきか。ホームページはどこで作るか。頭の中は営業のことでいっぱいでした。

税金の書類なんて完全に後回し。「開業届は1ヶ月以内に出す」なんてルールがあること自体を知りませんでした。というか、個人事業主になったら何をどこに届け出るべきなのか、全体像がまったく見えていなかった。

サロン仲間にも同じ人がけっこういて、「え、出すの?」「出してない人もいるよ」なんて会話が普通に飛び交っていました。今考えると全員アウトなんですが、当時はそれが普通だと思っていたんですよね。

初年度の確定申告で現実を突きつけられた

開業1年目の終わり。確定申告の時期に慌てて税理士を探しました。そこで言われたひと言が忘れられません。

「青色申告承認申請書を出していないので、今年は白色申告になります」

「えっ、青色って勝手にできるものじゃないんですか?」と聞いたら、「申請書を期限内に出さないとダメなんです」と。

書類を1枚出すだけでよかったのに。知らなかったというだけで、節税のチャンスを丸ごと失いました。しかも白色申告には青色申告のような特別控除がないだけでなく、帳簿付けの手間はそれなりにかかります。「簡単だから白色でいい」というのは、実は半分しか正しくありません。

白色と青色でこれだけ税金が変わる

実際にどれくらい違うのか。主な違いをまとめます。

項目青色申告白色申告
特別控除最大65万円なし
赤字の繰越3年間繰り越せるできない
家族への給与経費にできるできない
少額の固定資産(30万円未満)一括で経費にできる原則、減価償却

たとえば事業所得が400万円の場合。青色申告の65万円控除と白色申告を比べると、以下のような差になります。

  • 所得税:約13万円の差
  • 住民税:約6.5万円の差
  • 国民健康保険料:約6万円の差

合計すると年間で約25万円。所得が増えるほどこの差は広がっていきます。所得税は累進課税なので、稼ぐほど控除の恩恵が大きくなる仕組みです。

私の初年度は売上もまだ少なかったですが、それでも10万円以上は余計に払いました。サロンの備品が買える金額です。

しかも赤字の繰越ができないのも痛い。開業初年度は設備投資で赤字になる人も多いですが、青色申告なら翌年以降の黒字と相殺できます。白色だとその年の赤字は使い切れずに消えてしまう。開業初年度こそ青色申告の恩恵が大きいのに、肝心のその年に使えなかったのは本当にもったいなかった。

開業届の書き方と出し方

ここからは具体的な手順。まずは開業届から。

提出期限は開業日から1ヶ月以内

所得税法では「開業の事実があった日から1ヶ月以内」に提出するよう定められています。期限を過ぎても罰則はありません。遅れて出してもペナルティはなく、受理されます。

ただし安心しすぎないでください。開業届を出さないでいると、青色申告承認申請書の提出も遅れがち。そして青色申告承認申請書の期限を過ぎると、その年は青色申告ができなくなります。連鎖的に損をするパターンです。

また、開業届を出していないと「いつ事業を始めたのか」の公的な記録が残りません。あとで融資を受けたいとき、補助金に応募するとき、事業歴を証明する手段がなくて困ることがあります。

記入する項目とポイント

開業届に書く項目は意外と少ないです。主なものを整理します。

項目内容・書き方のポイント
提出先納税地を管轄する税務署
納税地自宅住所が一般的
氏名・生年月日そのまま記入
マイナンバー個人番号を記入
職業「美容業」「飲食業」など
屋号店名があれば記入。空欄でもOK
届出の区分新規なら「開業」にチェック
所得の種類個人事業主なら「事業所得」
開業日実際に事業を始めた日
事業の概要「エステサロンの経営」のように具体的に

用紙は国税庁の個人事業の開業届出・廃業届出等手続のページからダウンロードできます。

屋号は後から変えることもできるので、決まっていなければ空欄で大丈夫。私は最初、屋号なしで出しました。

「開業日」は実際に事業を始めた日を記入します。お店のオープン日でもいいし、最初の売上が立った日でもいい。厳密な決まりはありませんが、あまり実態とかけ離れた日付にしないほうが無難です。

「事業の概要」は「飲食店経営」「Webデザイン」のように、何をやっているかが伝わる程度に具体的に書いておけば問題ありません。

提出方法は窓口・郵送・e-Taxの3つ

開業届の提出方法は以下の3つです。

  • 税務署の窓口に直接持っていく
  • 郵送で送る
  • e-Tax(オンライン)で提出する

窓口に持っていく場合は、税務署に行って書類を渡すだけ。不備がなければ数分で終わります。私が出しに行ったときも5分かからなかった。「こんな簡単なら早く出せばよかった」と思ったのを覚えています。

郵送の場合は、国税庁のサイトからダウンロードした用紙に記入して、所轄の税務署宛に送ります。普通郵便でも届きますが、簡易書留のほうが安心です。

e-Taxで提出する場合は、マイナンバーカードとカードリーダー(またはスマホ)が必要。最初の設定がやや手間ですが、一度やってしまえば確定申告のときにも使えるので損はありません。

ちなみに2025年1月から、税務署で受け取る書類の控えに収受日付印が押されなくなりました。これまでは控えに印をもらって保管する流れが一般的でしたが、今後はその運用が変わっています。窓口で提出した場合は、代わりに日付と税務署名を記載したリーフレットがもらえます。e-Taxなら受信通知が届くので、それを保存しておけばOKです。

青色申告承認申請書の書き方と出し方

こっちが本当に大事な書類。出し忘れると1年分の節税メリットが消えます。

提出期限を絶対に守る

青色申告承認申請書の提出期限は2パターンあります。

  • 1月15日までに開業した場合:その年の3月15日まで
  • 1月16日以降に開業した場合:開業日から2ヶ月以内

たとえば4月1日に開業したなら、6月1日が期限です。この期限を1日でも過ぎると、その年は青色申告不可。翌年からの適用になり、丸1年分の控除を失います。

つまり、提出が1日遅れただけで65万円控除を1年間使えなくなる。金額に換算すると10万円以上の損失。これはかなり痛い。

「2ヶ月って長いようで短い」というのが経験者としての実感。開業直後はあれこれやることが多くて、気づいたら期限を過ぎていた、なんてことは本当にあり得ます。だから開業届と同時に出してしまうのが一番確実です。

申請書は国税庁の所得税の青色申告承認申請手続のページに様式があります。

65万円控除を受けるための選び方

申請書の中で迷いやすいのが「簿記方式」と「備付帳簿名」の欄。ここの選び方で控除額が変わります。

65万円控除を受けるための条件は3つ。

  • 簿記方式で「複式簿記」を選ぶ
  • e-Taxで確定申告する(紙だと上限55万円)
  • 確定申告の期限内に提出する

簿記方式は迷わず「複式簿記」にチェックしてください。「複式簿記」と聞くと難しそうですが、会計ソフトに任せれば自分で仕訳を理解している必要はありません。

備付帳簿名は「総勘定元帳」と「仕訳帳」の2つが必須です。加えて以下の帳簿にもチェックしておくと安心。

  • 現金出納帳(現金での取引がある場合)
  • 経費帳(経費の管理)
  • 固定資産台帳(設備投資がある場合)
  • 預金出納帳(銀行取引の記録)

ここの選択は後から変更しても問題ありません。会計ソフトを使っていれば、チェックした帳簿はすべて自動で作成されるので、多めに選んでおいても困ることはないです。

会計ソフトがあれば複式簿記も怖くない

「複式簿記なんて自分にはムリ」と感じる人は多いはず。私もそうでした。

でも実際のところ、freeeやマネーフォワードのような会計ソフトを使えば、日々の収支を入力するだけで帳簿が自動的にできあがります。銀行口座やクレジットカードと連携させれば、取引の取り込みまで自動化できる。簿記の知識がなくても65万円控除は狙えます。

私は2年目から税理士にお願いしていますが、サロン仲間には会計ソフトだけで自分で確定申告している人も少なくありません。会計ソフトの月額は1,000円から2,000円程度のプランが多いですが、65万円控除で浮く税金は年間10万円以上。差し引きで圧倒的にプラスです。

ちなみに「簡易簿記」を選んでも青色申告自体はできます。ただし控除額は10万円まで下がります。複式簿記との差は55万円。会計ソフトを使えば手間はほぼ変わらないので、ここは複式簿記一択だと私は思っています。

2つの書類は同時に出すのが鉄則

開業届と青色申告承認申請書。この2つはセットで出すもの、と覚えておいてください。

無料の書類作成サービスを使おう

「書き方がわからない」「記入ミスが怖い」という人には、無料の書類作成サービスがおすすめです。

どちらも5分ほどで書類が作れます。画面の質問に沿って「開業日はいつ?」「屋号はある?」と入力していくだけで、開業届と青色申告承認申請書がセットで完成する仕組みです。記入ミスも起きにくい。

作成した書類はそのままe-Taxで提出するか、印刷して税務署に持っていくか選べます。私が開業した頃にこういうサービスがあったら、もっと早く出していたはず。

提出したあとにやっておくこと

書類を出して安心してはいけません。もう2つだけやっておきましょう。

  • 提出した記録を手元に残す。e-Taxなら受信通知を保存、窓口ならリーフレットを保管
  • 会計ソフトのアカウントを作り、開業日から記帳を始める

記帳は早く始めるほど楽です。「落ち着いてからやろう」と思って3ヶ月放置した結果、レシートは散らかるし記憶もあいまいになるしで、確定申告の直前に地獄を見ます。これも私の経験談。

開業届を出す、青色申告承認申請書を出す、会計ソフトで記帳を始める。この3つを開業初日にまとめてやってしまうのが理想です。全部合わせても1時間かからないはず。

まとめ

開業届と青色申告承認申請書は、出すだけなら5分で終わる書類です。記入する項目も多くないし、費用もかかりません。でも出し忘れると、年間10万円以上の損につながることもある。

私は初年度にこの失敗をして、余計な税金を払いました。あのとき誰かが「開業届と一緒に青色申告承認申請書も出しなよ」と言ってくれていたら、と今でも思います。2年目から税理士と契約して青色申告に切り替えてからは、毎年しっかり控除を受けられるようになりました。初年度の分だけが本当に悔やまれます。

これから独立する人へ。開業したその日のうちに、この2枚を用意してください。freee開業やマネーフォワードを使えばスマホだけでも作れます。

独立前は「売上が安定してから届出を出せばいいや」と思いがちですが、届出が遅れるほど損が積み上がる仕組みです。書類を1枚出すか出さないかで1年分の税金が変わる。開業前にこの記事を読んでくれた人は、それだけでもう私より一歩リードしています。



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