独立1年目、確定申告の時期がきて初めて「これ、自分でやるの無理かも」と思いました。
私は30代で会社員を辞めて、自宅サロンでエステの仕事を始めたのですが、開業届を出した時点では税金のことなんてほとんど考えていなかった。売上の管理もざっくりで、経費の領収書はとりあえず封筒に突っ込んでいただけ。そんな状態で確定申告シーズンを迎えて、見事にパニックになりました。
「税理士に頼もう」と思い立ったものの、次に困ったのが料金のこと。ネットで調べても情報がバラバラで、「月1万円」と書いてあるところもあれば「月3万円が相場」とするサイトもある。個人事業主の場合、いったいいくらが妥当なのか、まったくわかりませんでした。
この記事では、私自身が税理士を探したときに調べたことや、実際に契約してわかった料金の仕組みをもとに、個人事業主の税理士顧問料の相場をまとめています。「高いのか安いのか」の判断基準が持てるようになるはずです。
目次
そもそも税理士の「顧問料」って何にお金を払っているのか
税理士の費用を調べると「顧問料」「決算料」「記帳代行」と、いろんな名前が出てきます。最初、私はこの違いがわかりませんでした。「全部まとめていくらなの?」と思っていたのですが、実はそれぞれ別々の料金なんですよね。
月額顧問料に含まれる基本サービス
月額顧問料は、税理士に「いつでも相談できる状態」を維持するための費用です。具体的には、こんなサービスが含まれます。
- 税金に関する相談(所得税、消費税など)
- 帳簿や経理のチェック
- 節税に関するアドバイス
- 税務署からの問い合わせへの対応
事務所によって含まれる範囲は違います。ある事務所は経営アドバイスまで入っていたり、別の事務所は税務相談だけだったり。ここが「同じ金額なのにサービスが違う」と感じる原因です。
確定申告(決算)料は別料金が多い
私が最初に驚いたのがこれ。月額顧問料を払っていても、確定申告の時期には別途「決算料」がかかるのが一般的です。
相場としては、月額顧問料の4~6倍。月額2万円の契約なら、決算料は8万~12万円くらいになります。これを知らないと、確定申告の時期に「えっ、こんなにかかるの?」となる。実際、私がそうでした。
記帳代行やオプションの追加料金
日々の取引を帳簿に記録する「記帳代行」は、顧問料に含まれていないケースが多いです。自分で記帳するなら追加料金はかかりませんが、丸ごとお任せすると月5,000円~1万5,000円ほど上乗せされます。
ほかにも、別料金になることがあるもの。
- 年末調整:1万~5万円
- 消費税の申告:5万~10万円
- 給与計算:従業員数に応じて変動
「全部込みでいくらですか?」と聞くのが、見積もりを取るときのコツ。項目別に聞くと「あれ、思ったより高い…」となりがちです。
【年商別】個人事業主の顧問料はいくらが相場?
税理士の顧問料は、年商(売上)の規模で大きく変わります。売上が多いほど取引の数も増えて、税理士の作業量も増える。だから高くなるという仕組みです。
いろいろ調べて、実際に見積もりも取った経験を踏まえると、個人事業主の場合の相場はこんな感じになります。
| 年商 | 月額顧問料の目安 | 確定申告料の目安 | 年間トータル |
|---|---|---|---|
| 500万円未満 | 1万~1.5万円 | 5万~10万円 | 17万~28万円 |
| 500万~1,000万円 | 1万~2万円 | 7万~12万円 | 19万~36万円 |
| 1,000万~3,000万円 | 1.5万~2.5万円 | 10万~15万円 | 28万~45万円 |
| 3,000万円以上 | 2万~4万円 | 15万~20万円 | 39万~68万円 |
※記帳代行なしの場合。記帳代行をつけると月5,000~1.5万円が加算されます。
年商1,000万円未満の場合
個人事業主で一番多いボリュームゾーンです。月額1万~2万円が相場になります。
私がサロンを始めたばかりの頃は、年商500万円にも届いていなかったので、月1万円台で契約していました。この規模だと訪問は3~4ヶ月に1回で、あとはメールや電話で相談するスタイルが一般的です。
正直なところ、年商500万円未満なら「顧問契約を結ぶほどでもない」と考える方もいると思います。確定申告だけスポットで頼むという選択肢もあるので、あとで比較します。
年商1,000万~3,000万円の場合
年商1,000万円を超えると、消費税の課税事業者になるタイミングが出てきます。インボイス制度の影響で、売上に関わらず課税事業者になっている方も増えていますが、いずれにしても消費税の申告が加わると税理士の作業量が一気に増えます。
月額顧問料は1.5万~2.5万円くらいが目安。訪問は2ヶ月に1回程度で、消費税の申告料として5万~10万円が別途かかることが多いです。
弥生株式会社の解説記事でも触れられていますが、売上規模が大きくなるほど取引数が増えるため、顧問料も比例して上がっていくのが一般的な構造です。
年商3,000万円以上の場合
月額2万~4万円が相場です。ここまで売上が大きくなると、税理士との打ち合わせも毎月必要になってきます。節税対策の幅も広がるので、良い税理士をつけておくメリットが一番大きい規模帯。
年間トータルで40万~70万円近くになりますが、適切な節税アドバイスが受けられれば、それ以上の金額が浮くケースも珍しくありません。
確定申告だけ頼むといくらかかる?
「毎月の顧問料は払いたくない。確定申告の時期だけ頼みたい」という方も多いと思います。私も最初はそう考えていました。
スポット依頼の費用相場
確定申告だけをスポットで依頼する場合の相場はこのくらいです。
- 白色申告:5万~10万円
- 青色申告(10万円控除):7万~15万円
- 青色申告(65万円控除):10万~20万円
売上の規模や仕訳の量によって変動します。記帳を自分で済ませてから依頼すれば安くなりますし、領収書の束をそのまま渡すと高くなる。税理士の手間が増えれば費用も増えるのは当然ですね。
顧問契約と年間費用を比較してみる
「結局どっちが得なの?」をざっくり比較してみます。年商800万円の個人事業主を想定した表です。
| 項目 | 顧問契約 | 確定申告のみ |
|---|---|---|
| 月額顧問料 | 1.5万円×12ヶ月=18万円 | なし |
| 確定申告料 | 8万円 | 12万~15万円 |
| 年間合計 | 約26万円 | 約12万~15万円 |
| 節税アドバイス | 年間を通じて受けられる | なし |
| 日常の税務相談 | いつでも可能 | 確定申告時のみ |
金額だけ見ると、確定申告だけの方が半額近く安い。ただ、顧問契約には「年間を通じて相談できる」「節税のタイミングを逃さない」というメリットがあります。
私の場合、確定申告だけの依頼から顧問契約に切り替えたのですが、その年の節税額が前年より15万円ほど増えました。顧問料の差額を考えても、結果的にプラス。こういうことは、実際に経験しないとわからないです。
顧問料が安い税理士、飛びつく前に知っておきたいこと
「月額5,000円から」「業界最安値」。こういった謳い文句を見かけることがあります。安いに越したことはないと思いますよね。でもちょっと待ってほしい。
安さの裏にあるサービス範囲の狭さ
格安の顧問料を提示している事務所は、基本料金に含まれるサービスが極端に狭いことがあります。税務相談は月1回まで、記帳代行は別料金、年末調整も別、消費税申告も別…。オプションを積み上げていくと、結局「普通の事務所と変わらない金額」になるパターンです。
freeeの解説記事でも指摘されていますが、月額顧問料に含まれるサービスは事務所によってかなり差があります。見積もりの段階で「何が含まれていて、何が別料金なのか」を確認した方がいいです。
節税提案がない=目に見えない損失
安い顧問料の事務所では、積極的な節税提案がないことも。確定申告の書類は作ってくれるけど、「こうすれば税金が減りますよ」というアドバイスはしてくれない。
これが厄介なのは、損していることに気づきにくい点です。「知らないまま余計に税金を払っていた」なんてこともあり得る。顧問料が月5,000円安くても、年間の税金が10万円多く取られていたら、明らかに損。目に見えない費用だからこそ怖いんですよね。
私が最初の税理士選びで失敗した話
開業2年目、私はネットで見つけた「月額8,000円」の税理士事務所に飛びつきました。安さが決め手。
結果的に1年で変えることになりました。理由はいくつかあります。
- 質問しても返事が遅い(3日以上かかることも)
- 担当者が毎回変わって話が通じない
- 「節税したい」と相談しても「特にないですね」で終わる
- 確定申告の時期に聞いていない追加料金を請求された
サロン仲間にも同じような失敗をした人がいて、「最初の税理士で大当たりする人のほうが少ないかも」と話したことがあります。今思えば、安さだけで選んだ自分にも問題があった。
顧問料を抑えるために自分でできること
「相場はわかったけど、できるだけ安くしたい」という気持ちもわかります。私もそうでした。顧問料を無理に値切るのではなく、自分側の工夫で費用を下げる方法があります。
自分で記帳する
一番効果が大きいのが記帳代行を頼まないこと。自分で帳簿をつければ、月5,000~1万5,000円の節約になります。年間にすると6万~18万円。結構大きい金額です。
最近はfreeeやマネーフォワードなどのクラウド会計ソフトが充実していて、簿記の知識がなくてもある程度の記帳はできます。私も最初は「無理でしょ」と思っていたのですが、サロンの取引はそこまで複雑じゃないので、慣れたら1日15分くらいで終わるようになりました。
ただし、自分で記帳する場合でも定期的に税理士にチェックしてもらうのは大事。間違った記帳のまま確定申告を出すと、あとで修正申告が必要になることもあります。
訪問回数を減らす・オンライン対応にする
税理士の訪問回数も費用に直結します。毎月来てもらうのと3ヶ月に1回では、当然料金が違う。
最近はZoomやチャットで対応してくれる事務所も増えています。直接会って話したい場面もありますが、日常的な相談はオンラインで十分。訪問を年2~3回に減らすだけで、月額数千円の差が出ることもあります。
「顧問契約」と「確定申告だけ」、どっちがいい?
最終的に悩むのはここだと思います。正解は人によって違いますが、判断の目安を書いておきます。
顧問契約が向いている人
- 年商1,000万円を超えている(消費税の申告が必要)
- 経理が苦手で、記帳や数字の管理に不安がある
- 節税対策をしっかりやりたい
- 将来的に法人化を考えている
- 融資や補助金の申請を検討している
年商1,000万円を超えたあたりから、税務の難易度がぐっと上がります。消費税の計算、インボイス対応、場合によっては法人化の検討。こういった判断を自分だけでするのはリスキーです。
確定申告だけで十分な人
- 年商が小さめ(500万円以下くらい)
- 取引がシンプルで、自分で記帳できる
- 経費の種類が少ない
- 今のところ節税よりもコストを抑えたい
開業したばかりで売上がまだ安定していない時期は、無理に顧問契約を結ばなくてもいいと思います。確定申告だけ頼んで、事業が軌道に乗ってきたら顧問契約を検討する。段階的に考えるのもありです。
私が顧問契約にした決め手
私の場合、開業1年目は自力で確定申告。2年目は確定申告だけスポットで依頼。3年目から顧問契約に切り替えました。
きっかけは、2年目の確定申告のときに税理士から言われた一言。「これ、年の途中で相談してくれていたら、もっと税金を減らせましたよ」と。具体的には、小規模企業共済への加入タイミングや、30万円未満の備品の購入時期のことでした。
年に1回しか会わない関係だと、こういった「タイミングが命」の節税策が活かせない。それ以来、月額の顧問料は「将来の節税のための投資」だと思って払っています。
まとめ
個人事業主の税理士顧問料は、月額1万~3万円くらいが相場です。確定申告料や記帳代行を含めると、年間で20万~50万円ほどかかります。
「高い」と感じるかもしれません。私も最初はそう思っていました。でも、知識がないまま自分でやって間違えるリスクや、節税できたはずのお金を取りこぼすことを考えると、必要な出費だと今は感じています。
大事なのは、相場を知った上で「自分には何が必要か」を考えること。年に1回の確定申告だけで十分な人もいれば、毎月相談できる環境が必要な人もいます。自分の事業の規模やステージに合った選び方をしてみてください。
