税理士の選び方や税金の基本について、自分で調べたことや経理の経験をもとに書いていくブログです。

確定申告を初めて自力でやった感想|正直かなりしんどかった

·

独立1年目の確定申告、私は税理士に頼まず自分でやりました。

結果から言うと、正直かなりしんどかったです。

私はエステサロンを経営しています。30代で会社を辞めて、自宅の一室でプライベートサロンを始めました。施術の技術や集客のことは必死に勉強したんですが、税金のことはほとんど手つかず。開業届を出した時点で「確定申告って何するんだろう」くらいの認識でした。

そんな状態で迎えた初めての確定申告シーズン。パソコンの前で何から手をつけていいかわからず、固まった記憶が今でもあります。当時の私に教えてあげたいことが山ほどある。

この記事では、確定申告を自力でやってみた正直な感想を書いていきます。大変だったこと、つまずいたこと、「こうしておけばよかった」と思ったこと。これから独立する人や、初めての確定申告を控えている人の参考になればうれしいです。

そもそも、なぜ自分でやろうと思ったのか

開業直後はお金に余裕がなかった

サロンを始めたばかりの頃、月の売上は10万円前後でした。そこから材料費や家賃を払うと、手元にほとんど残らない。

税理士に確定申告を依頼すると、年商500万円未満でも7〜8万円ほどかかります。記帳代行まで含めると月額1〜3万円。当時の私にとって、この出費はかなり痛かった。

「もう少し売上が安定してから考えよう」と思って、初年度は自力で乗り切ることにしました。今振り返ると、この判断が正しかったかどうかは微妙なところです。

「会計ソフトがあれば自分でできる」を信じた

ネットで「確定申告 やり方」と検索すると、「会計ソフトを使えば初心者でも簡単にできます」という記事がたくさん出てきます。

それを読んで「私でもできそう」と思ったのが正直なところ。完全に甘く見ていました。

確かに会計ソフトは便利なツールです。でも、そもそも「何を入力すればいいか」がわからない人間には、道具があっても使いこなせない。料理で言えば、レシピを知らないのに高性能オーブンだけ渡された感じ。オーブンのせいじゃなくて、私の知識不足が問題でした。

最初につまずいた3つのこと

青色と白色、どっちで出せばいいの問題

確定申告には「青色申告」と「白色申告」の2種類があります。簡単に比較すると、こんな違いです。

項目青色申告白色申告
特別控除最大65万円なし
帳簿の方式複式簿記単式簿記
事前申請必要(開業から2ヶ月以内)不要
赤字の繰越3年間OKできない
手間多い比較的少ない

こうして見ると青色申告の方が明らかにお得。65万円の控除は大きい。でも、これを知ったのは確定申告の直前でした。

私は開業届こそ出していたものの、「青色申告承認申請書」を出していなかったんです。この申請書は、原則として開業日から2ヶ月以内に提出しなきゃいけない。期限はとっくに過ぎていました。

結果、1年目は白色申告に。最大65万円の控除を受けるチャンスを、ただ知らなかったせいで逃しました。今思うとありえないミスですが、当時は「申請書が2種類ある」ことすら把握していなかったんです。

帳簿のつけ方がまったくわからない

白色申告でも、日々の取引を帳簿に記録する義務はあります。

「帳簿をつけてください」と言われても、具体的に何をどう書けばいいのか見当もつかない。「勘定科目」「仕訳」「貸方・借方」。経理経験ゼロの私には、どれも初めて聞く言葉ばかりでした。

ネットで調べれば解説記事はたくさん出てきます。でも、記事ごとに微妙に書き方が違う。「結局、どれが正解なの?」という確信が持てないまま、恐る恐る入力していく日々。間違っていたらどうしよう、という不安がずっとつきまとう。これが地味に精神的にきつかったです。

会社員時代は給与明細をもらうだけで、経理なんて触ったこともない。帳簿の「ぼ」の字も知らなかった私が、いきなり自分で記帳しようというのがそもそも無謀だったのかもしれません。

レシートの山をどうにかしなきゃいけない

これ、私もやらかしました。

開業してからの1年間、レシートを封筒に入れてとりあえず保管していただけ。「後でまとめて整理しよう」と思いながら、結局ずっとそのまま。確定申告の時期になって封筒を開けたら、完全にカオスな状態でした。

時系列はバラバラ。何に使ったか思い出せないものもいくつかある。しかも、感熱紙のレシートは文字が薄くなっていて、読めなくなっているものも。あの時の絶望感は忘れられません。

結局、12ヶ月分のレシートを一気に仕分けするのに丸2日かかりました。サロンの予約を入れていない休みの日を2日つぶして、リビングの床にレシートを並べて仕分け。サロン仲間にも「私も同じことやった」と言われたので、個人事業主あるあるなんだと思います。

確定申告で特にしんどかったこと

経費の仕分けは想像以上に地味で大変

経費を帳簿に入力するには、支出ごとに「勘定科目」を決める必要があります。これがとにかく面倒でした。

施術用のオイルは「消耗品費」。お客様への施術後のお茶代は「接待交際費」なのか「福利厚生費」なのか。技術セミナーの参加費は「研修費」。サロンまでの電車代は「旅費交通費」。

一つひとつ調べながら入力していくんですが、調べてもはっきりした答えが出ないものが多いんですよね。税理士さんに聞けば一発で解決する話なんでしょうけど、当時は頼れる相手がいなかった。

サロン仲間に聞いても「私もよくわからないまま出したよ」という人がほとんど。結局は自分で判断するしかない。合っているかどうか不安を抱えたまま、ひたすら入力する作業が続きました。華やかさゼロの地味な戦いです。

家事按分の割合をどう決めればいいかわからない

自宅サロンだった頃、家賃や光熱費の一部を経費にできる「家事按分」という仕組みがあります。事業に使っている分だけ、経費として計上できる制度です。

問題は「どれくらいの割合を経費にしていいのか」。たとえば家賃を50%にするか30%にするか。サロンとして使っている面積で計算すればいいという話は聞いたんですが、施術スペースだけでなく、洗面所やトイレだって業務中に使う。廊下はどうなるのか。

按分率の根拠があいまいだと税務署から指摘される可能性がある、と知ってからは余計に慎重になりました。結局かなり控えめな割合で申告したんですが、2年目に税理士さんに見てもらったら「もう少し経費に入れてよかったですね」と言われた。損していたことに、自分では気づけなかったわけです。

e-Taxの初期設定で半日つぶれた

確定申告はe-Tax(国税電子申告・納税システム)を使えば自宅から提出できます。国税庁のe-Tax公式サイトにアクセスして、画面の案内に沿って入力していく仕組みです。

「これは便利そう」と思ってチャレンジしたんですが、最初のセットアップが予想以上に大変でした。

まず、マイナンバーカードの暗証番号を忘れていた。カードは持っていたけど、作った時に設定した暗証番号なんて覚えていない。役所に行って再設定するところからのスタートです。

戻ってきて設定を進めたら、今度はICカードリーダーがパソコンに認識されない。ブラウザの拡張機能を入れたり、セキュリティ設定を変えたり、ソフトをインストールし直したり。ネットで「e-Tax 認識しない」と何度検索したことか。

結局、確定申告書を作り始めるまでに半日かかりました。もう疲れ果てて、肝心の入力作業は翌日に持ち越し。

ただし、ここは時代とともに改善されています。2026年現在はiPhoneにマイナンバーカード機能が搭載されていて、物理カードのスキャンが不要になりました。私がやった当時と比べると、だいぶハードルは下がっているはずです。

自力でやったからこそわかったこと

お金の流れが「見える」ようになった

大変だったけど、収穫もありました。

帳簿をつける作業を通じて、毎月何にいくら使っているかがはっきり見えるようになったんです。「施術用の材料費が思ったより高い」「交通費がじわじわ膨らんでいる」「広告費は意外と効果が薄い」。肌感覚ではなく、数字で把握できるようになった。

これは経営判断に直結する情報です。どこを削ればいいか、どこに投資すべきか。確定申告のための帳簿づけが、そのまま経営分析になっていた。

今でもこの時の経験は活きています。税理士さんに任せるようになった今も、帳簿にはたまに目を通す。自分でやらなかったら、数字を見る習慣は身につかなかったと思います。

「ここからは税理士の仕事」という線引きができた

もう一つの大きな収穫は、「自分でやれること」と「専門家に任せるべきこと」の線引きがわかったこと。

日々の記帳やレシートの整理は、慣れれば自分でできます。でも、節税のための判断や控除の見落としチェック、申告書の最終確認。このあたりはやっぱり専門知識がないと難しい。

2年目に税理士をつけてからは、やりとりがスムーズでした。「ここは自分でやるから、ここからお願いします」と伝えられた。1年目に自力でもがいた経験があったからこそ、税理士に何を聞けばいいかがわかったんですよね。

逆に言うと、最初から全部丸投げしていたら、何がわからないのかすらわからないまま「お任せします」で終わっていたかもしれない。それはそれで問題だったと思います。

振り返って「こうすればよかった」と思う4つのこと

開業届と一緒に青色申告承認申請書を出す

一番の後悔はこれ。開業届を出す時に、青色申告承認申請書も一緒に出すだけでよかったのに。

青色申告承認申請書は、新規開業の場合は開業日から2ヶ月以内が提出期限です。出し忘れると、その年は自動的に白色申告になります。あとから「やっぱり青色にしたい」と思っても、翌年まで待つしかない。

税務署によっては「青色申告承認申請書も一緒に出しますか?」と聞いてくれるところもあるようですが、私の場合は聞かれませんでした。自分から動かないとダメ。これはこれから開業する人に一番伝えたいことです。

レシートは月イチで整理しておく

12ヶ月分を一気に片付ける地獄を経験した身として、これだけは声を大にして言いたい。

月に1回、30分でいいからレシートを整理する時間を作ってください。月ごとに封筒を分けて入れるだけでもかなり違います。

感熱紙のレシートは時間が経つと文字が消えていきます。スマホで写真を撮っておくのも手です。最近はレシートを撮影するだけで金額や日付を読み取って自動仕分けしてくれるアプリもあります。こういうツールは、早いうちから使い始めた方がいい。

会計ソフトは開業初日から使う

私は確定申告の直前になって慌てて会計ソフトを導入しましたが、完全に順番が逆でした。

開業初日から入れていれば、日々の取引をその場で記録できます。後から1年分まとめて入力しようとすると、記憶があいまいな上に作業量も倍以上。「あの時なんで入れておかなかったんだろう」と何度思ったことか。

個人事業主向けのクラウド会計ソフトは主に3つの選択肢があります。

ソフト名特徴こんな人向け
やよいの青色申告 オンラインシェアNo.1、初年度無料あり電話サポートがほしい人
freee会計簿記知識なしでOK、スマホ対応が充実経理初心者の人
マネーフォワード クラウド確定申告税理士との連携に強い将来的に税理士と組みたい人

どれも無料プランやお試し期間があるので、まず触ってみるのが一番です。私は最終的にfreeeを使いましたが、freee公式の確定申告ガイドがわかりやすくて何度もお世話になりました。質問に答えていくだけで申告書が作れる仕組みは、本当に助かった。

マネーフォワードの確定申告ガイドも、個人事業主の確定申告全般について網羅的にまとまっていて参考になります。

最初の1回だけでも税理士に見てもらう

「全部自分でやる」か「全部税理士に任せる」の二択だと思っていましたが、そうでもないんですよね。

初回だけ税理士に依頼して、正しいやり方と節税の基本を教えてもらう。2回目以降はその知識をベースに、会計ソフトを使いながら自分でやる。この方法が、費用対効果として一番バランスがいいと思っています。

確定申告だけの依頼なら1回7〜8万円程度(年商500万円未満の場合)。最初の1回で「正しい型」を教わっておけば、翌年からは自分で回せます。

私は1年目を自力で乗り切った後、2年目に税理士をつけました。順番としては逆だったなと今でも思います。

自分でやるか税理士に頼むか、判断の目安

自分で確定申告をやるメリット・デメリット

自力でやるメリットは明確です。

  • 費用がかからない(会計ソフト代のみ)
  • お金の流れを自分で把握できるようになる
  • 経理の基本スキルが身につく
  • 経営判断に必要な数字感覚が養われる

一方でデメリットもあります。

  • 本業の時間が確実に削られる
  • 知識不足で節税のチャンスを逃す可能性がある
  • 申告ミスのリスクがつきまとう
  • 精神的な負担が大きい

特に申告ミスは怖い。期限内に正しく申告しないと、延滞税(年利最大14.6%)や無申告加算税(最高20%)がかかることもあります。「知らなかった」は通用しない世界です。

税理士に頼んだ場合の費用感

個人事業主が税理士に確定申告を依頼した場合の費用感をまとめておきます。

依頼内容費用の目安(年商500万円未満)
確定申告のみ(白色申告)6〜7万円
確定申告のみ(青色申告)7〜8万円
記帳代行込み(月額)月1.5〜3.5万円
顧問契約(記帳代行込み)月3万円〜

開業1年目で売上がまだ少ない段階だと、7〜8万円でも大きな出費です。でも冷静に考えると、青色申告の65万円控除を取りこぼした場合の損失の方がずっと大きい。所得税率が10%でも、控除を受けるだけで約6.5万円の節税。税理士費用はほぼ元が取れる計算です。

さらに住民税も含めると、65万円の控除で年間約10万円前後の節税になります。私が1年目にこの控除を逃したのは、完全にもったいなかった。

私が「初回だけ税理士に頼む」をすすめる理由

私の場合、1年目は自力で確定申告、2年目から税理士をつけました。正直に言うと、順番が逆の方がよかった。

最初に税理士に相談していれば、青色申告承認申請書の出し忘れは防げたはず。経費の計上漏れもなかった。1年目に失った節税分は、税理士費用をゆうに超えていたと思います。

だから今は「初回だけ税理士に依頼して、型を教わる。2回目以降は会計ソフトを使って自分でやる」というスタイルをすすめています。サロン仲間にもこのアドバイスをしていて、実際にそうした人は2年目からスムーズに自力で回せています。

「税理士選びは最初に失敗した方がわかることが多い」というのが私の持論ですが、確定申告そのものは最初にプロの手を借りた方が結果的にうまくいく。ちょっと矛盾しているようですが、どちらも本音です。

まとめ

確定申告を初めて自力でやった正直な感想は、「かなりしんどかった」。これは間違いないです。

でも、しんどかったからこそ見えたこともありました。お金の流れがわかるようになったし、税理士との付き合い方も学べた。遠回りだったけれど、無駄な経験ではなかったと今は思えます。

振り返って一番大事だと感じるのは、準備の早さ。

  • 開業したらすぐに青色申告承認申請書を出す
  • 会計ソフトを入れて、初日から記帳を始める
  • レシートは月イチで整理する

この3つを開業時にやっておくだけで、確定申告のしんどさは半減します。そして余裕があれば、初回だけでも税理士に見てもらう。それだけで、1年目の私みたいな失敗はだいぶ避けられるはずです。

これから独立する人は、「税金のことは後回しにしない」を合言葉にしてもらえたらなと思います。



その他の投稿